2026/10/31
神社 御朱印
今日で10月も終わりです。10月は「神無月(かんなづき)」。全国の神さまが出雲に集まって留守になるから神無月、という話を子どものころに聞いた方も多いと思います。反対に、神さまが集まる出雲では「神在月(かみありづき)」と呼ぶそうです。
ただ、神在月の行事は旧暦の10月に行われるので、今の暦では11月ごろになります。つまり、ちょうどこれからが「出雲の季節」とも言えます。
とはいえ、島根の出雲大社まではなかなか気軽には行けませんが2年前に初参拝しました。
そこで今回は、これまでに私が参拝してきた関東にある出雲大社の分祠・分社を振り返って、3社を比べてみることにしました。御朱印巡りを長く続けていると、同じ「出雲大社」の名前でも、場所によってずいぶん雰囲気が違うことに気づきます。
まず、私がこれまでに参拝して記事にした、出雲大社に関係する神社を並べてみます。
どれも御祭神は大国主大神(おおくにぬしのおおかみ)、いわゆる「だいこくさま」です。縁結びの神さまとしてよく知られていますね。
いちばん多く通っているのは、神奈川県秦野市の出雲大社相模分祠で、過去の記事で確認できるだけでも3回参拝しています。
出雲大社相模分祠は、通称「関東のいづもさん」とも呼ばれています。明治21年(1888年)に出雲大社相模分院として創立され、今の場所に社殿が建ったのは昭和50年(1975年)、平成3年(1991年)に分祠に昇格したそうです。
社殿のしめ縄は立派で、緑の多い境内は広々としています。境内には八坂神社、御嶽神社、祖霊社、祓社、龍蛇神の社などがあり、ひと回りするだけでもけっこう時間がかかります。
印象に残っていることがいくつかあります。
同じ神社に何度か通うと、前回は見落としていたものに気づけます。御朱印巡りは「新しい神社を増やす」楽しみが中心になりがちですが、同じ神社を時間をあけて再訪する楽しみもあると、この神社で教わりました。
また、龍蛇神の社の手水舎は湧き水になっていて、ホタルが生息するくらいきれいな水だそうです。境内の出雲記念館には出雲大社の模型なども展示されていて、島根の本社の姿をイメージするのにも役立ちます。
御朱印には「関東のいづもさん」の文字が入ります。2016年にいただいた御朱印には、特徴の緑の勾玉が押されていました。
2018年8月に再訪したときは、勾玉の代わりに期間限定(8月末まで)のホオズキの判子でした。同じ神社でも、時期によって御朱印の表情が変わるのも再訪の楽しみです。
出雲大社の系統の神社で、最初に戸惑ったのが参拝の作法です。
一般的な神社は「二拝二拍手一拝」ですが、出雲大社相模分祠では二拝四拍手一拝です。拍手が4回になります。本殿だけでなく、祖霊社や祓社、龍蛇神の社でも同じ作法でした。
さらに、2016年に参拝したときの記事には、神語(しんご)として「幸魂(さきみたま)奇魂(くしみたま)守り給い幸(さきは)ひ給へ」と3回唱える、という作法も書き残していました。
長年パソコンやWebの仕事をしていると、「仕様が違うなら、まず手順書を読む」という習慣が身についています。神社でも同じで、境内にこうした案内札があると本当に助かります。知らずに二拍手で済ませてしまっても叱られることはないと思いますが、その神社のやり方に合わせてお参りするほうが、気持ちよく参拝できます。
2019年3月には、東京都港区六本木にある出雲大社東京分祠を参拝しました。
相模分祠とはまったく雰囲気が違い、周りは鉄筋コンクリートのビル群です。創建は明治時代にさかのぼりますが、東京大空襲で社殿を焼失し、昭和36年に今の場所で再建、昭和55年には近隣の再開発にあわせて鉄筋コンクリート造りの神殿に改築されたそうです。
ここでも、まず祓社をお参りしてから本殿へ、そして二拝四拍手一拝でお参りします。拝殿の右手に社務所があり、御朱印もいただけました。
相模分祠と同じ六角形の朱印に、赤い「縁」の判子が押されているのが印象的です。
森に囲まれた相模分祠と、ビルの谷間の東京分祠。同じ大国主大神をお祀りしていても、場所が変わるとこんなに表情が違うのかと感じました。都心で仕事の合間に立ち寄れる距離にあるのは、東京分祠ならではだと思います。
2019年11月には、茨城県笠間市の常陸国出雲大社を参拝しました。1992年に島根県の出雲大社から分霊して竣功した、比較的新しい神社です。
いちばん印象に残っているのは、社殿の大しめ縄です。実物はかなり大きく、見上げると迫力があります。本殿は「大社造り」で造営されているそうです。
境内には龍蛇神をお祀りする龍蛇神社や、少彦名神をお祀りする薬神神社もありました。相模分祠にも龍蛇神の社があったので、龍蛇神さまは出雲系の神社に共通する存在なのだと、2社を比べて気づきました。
御朱印もいただきました。中央に「常陸國出雲大社」と書かれています。
ちなみに、ここでは御朱印帳も購入しています。表紙画が印象的な御朱印帳です。
あらためて3社を並べると、次のような違いがありました。
共通しているのは、御祭神が大国主大神であることと、四拍手の作法、そして(相模分祠と常陸国出雲大社では)龍蛇神さまがお祀りされていることです。
逆に、境内の広さや建物の雰囲気は、それぞれの土地の事情に合わせてずいぶん違います。古い社殿が残る神社とはまた違って、「出雲の神さまを関東でどうお祀りするか」を、それぞれの時代に考えて形にしてきた結果なのだと思います。
ちなみに、「出雲」とつく神社は、出雲大社の分祠だけではありません。
埼玉県毛呂山町の出雲伊波比神社(いずもいわいじんじゃ)は、武蔵国の延喜式内社のひとつ(論社)で、御祭神は大己貴命(おおなむちのみこと)と天穂日命。創建は景行天皇53年と伝わる、とても古い神社です。2022年6月に参拝しました。
大己貴命は大国主大神の別名とされるので、出雲の神さまは、明治以降に分祠ができるずっと前から関東でお祀りされていたことになります。分祠と古社を見比べてみると、出雲と関東のつながりがより立体的に見えてきます。
旧暦10月の神在月は、今の暦でいうと11月ごろです。出雲では神さまをお迎えする神事が行われると聞きます。
関東の分祠でも、この時期に何か行事があるのかどうか、まだ確かめたことはありません。神無月が終わるこれからの時期は、近くの出雲さんを訪ねるのにちょうどよい季節かもしれません。
島根まで行けなくても、出雲の神さまには関東でも会えます。神無月の締めくくりに、近くの「出雲さん」を訪ねてみてはいかがでしょうか。
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